企業は社会の歯車だと言います。大きな会社は大きな歯車です。大きな歯車はそれなしに社会が立ち行かなくなりますから、社会にとって大切なものです。ただ社会というものは、ずっと同じ訳ではないので、実は小さな歯車も同じように大切なんだ、と思っています。
大きな会社(歯車)と較べて、小さな会社は幾らでも替わりが利くので、社会からそれほど重要視されない面があります。当然ですね。もちろん小さくても絶対に替わりが利かない会社もあるけれど、やっぱり例外です。
でも技術や国際情勢が変わると、ある日社会もガラっと変わります。今まで大事だと思っていた役割が不要になってしまうことがあるのです。大きな歯車が要らなくなるんですね。すごく怖いことだと思います。
でもそんな時には、同時に社会の変化に合わせて他の産業が生まれるのです。そしてそこに居る小さな歯車は、次の社会の大きな歯車に育ってゆきます。これが社会の新陳代謝です。
だからたくさんの小さな会社が必要なのですね。
大きな会社が社会の変化に合わせて変われれば良いって思う人もいます。でもそれはほとんど不可能なのです。第一に大きい会社(歯車)は古い社会の仕組みの中で最適化しているからこそ価値があるのです。新しい仕組みに向いていません。第二に新しい産業は、常に最初は大企業が入るには小さ過ぎるのです。そしてその市場が大企業が入れる位大きくなった頃には、新しい市場の小さな会社は追いつけない位実力をつけてしまっているのです。
スーパー・百貨店→eコマース、テレビ→ネット、と常に新しい会社が育ち、古い会社が衰退し、新しい会社が勃興してゆきます。
だから小さな新しい会社がたくさんあるってことは、社会が新陳代謝できる環境にあることで、すごく健全な証拠です。若者が多い社会は、変化に強くて活気があるように、企業も若い会社が多い方が良いわけです。小さい会社が多い社会は、変化について行ける社会です。
さて翻って私達の日本は、少し前までは中小企業が多い国として有名でした。良く大企業が多い韓国と比較して、日本の地力の高さを誇ったのはこういう所もありました。でも今はもうかなり「老害」な国になっているみたい。
アメリカやオーストラリアといった国々では開業率が10%を超えています。対して日本の開業率は5%程度で調査国全体の中でもビリに近い水準です(Global Entrepreneurship Monitorの調査)。高度成長期(1970年初頭)には企業数の純増(開業数-廃業数)が6.7%だったのに対して、ここ数年はマイナスから1%未満という状況が続いています(国税庁統計年報書)。これじゃぁ、新しい産業は起きないし、他の国とまともに競争できないよなぁ、としみじみ思います。
背景には日本の平均年齢が上がっていることがあるのではないかと思っています。
今の日本は社会全体が年をとった状態。そして若い子は今の社会を映す鏡だと思っています。年をとれば、新しいことに挑戦する気力が失われるでしょう。
若い子達の大企業指向が強くなっている(中小企業の雇用者数が減少している)というデータは、こうした社会の「気分」を反映しているのではないでしょうか。
日本社会は今すごく変化を嫌っていて、それが若者の保守的な行動パターンに表れているなぁと思っているのです。
閉塞感だらけですね。
変化を求める若者と、そんな若者が作った中小企業がたくさん出来ればいいのになー。
0コメント